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見た目も味も素人には区別できないほどソックリなお菓子が、全国のお土産屋さんで売られているニョロ

素人目には「中身は一緒で商品名とパッケージだけ変えて売ってるの?」と疑いたくなるよね。
今回は知り合いの「お菓子の専門家」を呼んだから、一緒に類似商品の違いを分析していくケロ

どうも初めまして。
大学では製菓学を専攻、菓子会社の商品開発部門に勤めて20年のシバです
こんにちは、りょうです!
日本各地にある銘菓(地域に根付いた由緒あるお菓子)ですが、実は似たような商品がいろんなところで販売されているため、「これって、どこそこのアレじゃない?パクりじゃ~ん」と鼻で笑うことありませんか?
黄色くて丸いカステラ生地の中にカスタードクリームが入ったお菓子も例に漏れず、全国にいくつも銘菓として存在しています。
そのようなお菓子の代表として、この記事では「御用邸の月」と「甘金丹」の2商品を徹底比較してみました!
- カスタードクリームが入ったスポンジケーキが好き
- 栃木県もしくは富山県と縁がある
- あまり知られていない隠れた逸品を探すのが好き


御用邸の月 | 項目 | 甘金丹 |
---|---|---|
栃木県那須高原 | 生誕の地 | 富山市 |
那須に御用邸があることから | 名前の由来 | 反魂丹(富山の胃腸の薬)のような響き |
いづみや | 製造者 | ボン・リブラン |
※2011年 | 発売日 | 1989年 |
163円 | 価格 /個 | 194円 |
50 g | 重さ | 48 g |
丹念に練り上げたオリジナルのカスタードクリーム、ふんわりカステラ | 特徴 | 富山のおいしい水で蒸しあげたきめ細かくしっとりとしたスポンジ、なめらかで濃厚なカスタードクリーム |
144 kcal 2.9 g 5.5 g 20.7 g 0.07 g | 栄養成分 熱量 たんぱく質 脂質 炭水化物 食塩相当量 | 139 kcal 2.8 g 4.7 g 21.4 g 0.04 g |
完熟とちおとめ | バリエーション | 苺、ピスタチオ、米粉とゆず、黒ゴマとしょうゆ |
全国菓子大博覧会 橘花榮光章 | 受賞歴 | 全国菓子大博覧会「金賞」 第68回ジャパン・フード・セレクション【グランプリ受賞】 |
「御用邸の月」を製造・販売しているのは株式会社いづみや(栃木県那須町)です。
実は以前、いづみやでは「那須の月」という現在の御用邸の月ソックリな商品を販売していました。それが2011年に「御用邸の月」へと改名されたのです。

2011年当時、「那須の月」は栃木県北部において”それなりの”ネームバリューを持っていました。にもかかわらず、なぜ名称変更に踏み切ったのか……その理由は謎に包まれたままです。
栃木県那須町には天皇や皇族の別荘(那須御用邸)がある事から、その地で製造・販売されているため「御用邸の月」という商品名が採用されたとのこと。
株式会社いづみやは、那須高原にある「お菓子の城 那須ハートランド」を運営しており、その中のお菓子工場で「御用邸の月」を作っています。
「御用邸の月」に使っているカスタードクリームは、オリジナルというだけあって、工場で一から炊き上げています。

その証拠に、原材料表示の欄に「カスタードクリーム」の文字がないよね。
これは、一からカスタードクリームを作っているからなんだよ。
常温保管のお菓子に使うカスタードクリームを一から作るというのは、実はかなり手間がかかります。
でも、それをあえて作っているということは、「御用邸の月」は単にカスタードクリームが詰まっているだけではなく、味に対するこだわりまで詰まっているということですね。
いづみやが「御用邸の月」を売り始めると、当時「御用邸」の商標権を持っていた会社から「商標権の侵害だ!」と訴えられました。
それに対し、いづみやは「登録商標『御用邸』だなんて、皇室と一切関係ない一般ピーポーが登録すること自体おかしいでしょ!そんなの無効よ!」と無効審判を請求。
その結果、訴えられた株式会社いづみやの登録商標「御用邸の月」は維持され、訴えた株式会社庫やの登録商標「御用邸」が無効とされました。
商標「御用邸」VS「御用邸の月」より引用
詳しくは、弁理士の先生が書かれた記事 商標「御用邸」VS「御用邸の月」をご覧ください。
知的財産に詳しい人はコチラもどうぞ。
「甘金丹(かんこんたん)」は中のカスタードクリームよりも、外側の生地のふんわり感が特長です。
中にカスタードクリームが入っているお菓子は、どうしてもカスタードクリームに注目が行きがちですが、この「甘金丹」は外側の生地に注目!
生地を作る工程では油を必ず使いますが、「甘金丹」はその油を極力減らして作っています。

これは原材料表示を見るとわかりるよ。
「食用油脂」が ”/” の直前にあるので、添加物を除いた中では一番少ないということだよ。

その前のホイップクリームにも注目です。
こちらも生地を作る上で必要な材料です。

生クリームでも作れるけど、あえてホイップクリームを使ってるんだ。
それは、ホイップクリームに含まれる植物性の油脂が、生クリームの動物性の油脂よりもふんわり仕上げることができるからだよ。
「御用邸の月」と見た目がよく似ている「甘金丹」ですが、商品名に「月」が入っていません!
全国で売られているこの手のお菓子は、たいてい商品名に「月 (または moon)」が含まれていますが、「甘金丹」って…
実はこの名前は「薬」をイメージして付けられたと言われています。
パッケージも置き薬っぽいし、商品名の横のカナ混じり文も薬を連想させますね。
薬で有名な富山県ならではです。
全て左側が御用邸の月、右側が甘金丹です。
クリックすると画像が大きく表示されます。




食べ比べてみたところ、やはり違いました。
なので食レポしまーす。
生地やクリームの色は一見大きな違いが無いように見えますが、注意深く見ると「御用邸の月」のクリームの方が少しだけ濃く見えます。
これは、オリジナルのカスタードクリームを作るときに、卵の配合にこだわっているためだと思います。
卵の量を多くすることで、濃いめな色に仕上がり、より濃厚な味わいになります。
そして「甘金丹」の生地の色の方が、少しだけ淡く見えます。
これはふんわりと仕上げるために、より多くの空気を含ませることで白っぽく見えるからです。
そして、生地の断面も目が詰まっていなくて、ふんわりしています。
やはり、こだわりのカスタードクリームです。
しっかりと卵の味を楽しむことができます。
そして、カスタードクリームだけではなく、生地の食感にもこだわりがありました。
やや濃いめのカスタードクリームに負けないように、生地はしっかり&しっとりとした食感です。

濃いめのカスタードクリームとしっとり食感の生地は、口の中で同時になくなるように、緻密な商品設計がなされてるね。
ふんわりと軽めの生地の食感が印象に残ります。
しっかりと空気を抱き込ませている生地なので、口に入れた時のふんわり感がたまりません。
そして中のカスタードクリームは、外側のふんわり食感の生地の良さを無くさないように、口当たりがあっさりとしています。

ふんわりした生地に濃厚なカスタードクリームを組み合わせてしまうと、食感がバラバラで一体感がなくなってしまうんだ。
「御用邸の月」のことが気になって、もっと詳しく知りたいと思ったあなたに、とっておきの記事を教えます👇
今回は栃木推奨銘菓「御用邸の月」と越中富山銘菓「甘金丹」について、比較レビューを書いてみました。
見た目は似ていますが、それぞれ良く考えて作られた素晴らしいお菓子でした。
専門家の意見も聞きながらの食べ比べ、機会があればまたやってみます!
- しっとり生地に濃いめのカスタードクリームの「御用邸の月」
- ふんわり生地に軽めのカスタードクリームの「甘金丹」
- 味に違いを感じるが、甲乙はつけがたく、どちらも美味しい
ふるさと納税で「御用邸の月」が返礼品の自治体もあります。